知る人ぞ知る名著、The End of Accounting。日本語訳は”会計の再生”と英語に比べてまろやかな表現になっています。会計の有用性について長年疑問を投げかけてきた筆者(バルーク・レブ/ニューヨーク大学教授)は、会計は投資家の役にほとんどたっていないという問題提起のみならず、解決策も示しています。私なりに要点を抜粋します。
会計の再生―21世紀の投資家・経営者のための対話革命 | 中央経済社ビジネス専門書オンライン (biz-book.jp)


◎財務諸表はこの20年の間に投資家の有用性を喪失してしまった。財務報告のうち価値関連性ある情報は約5%。USスチールの財務諸表は1902年と2012年でほとんど変化がない(注記だけ増えた)。会計が投資家のニーズをくみ取り切れていない証左では?
◎どうしてこんなことになったのか。原因は①重要な戦略的資産である無形資産を財務諸表に開示できてない②会計は経営者の見積もりまみれになってる③会計は重要なビジネス事象の認識が遅れてる、の3点。例えば製薬会社では臨床テストの成功/失敗が企業価値に大きな影響与えるが、会計にこのあたりの影響は表れない。
◎この問題を解決すべく「戦略的資産・帰結報告書」を提案する。具体的には”資源開発→資源ストック→資源保持→資源展開→創造価値”を報告書で開示する。代表的な資源ストックは①顧客基盤②製品パイプライン③ブランド④卓越した人材⑤特許。

現在非財務情報開示が世界中で盛り上がってますが、「なぜ必要なのか?」という問いに正面から答えた書籍と思います。現在新品は売っていないため、中古品をAMAZONで購入することをお勧めします。