企業会計2024年6月号にてサステナビリティ情報保証に関する特集記事がありました。通常サステナビリティ情報は開示の記事が多く、保証に触れる記事は少ない印象ですので、紹介させていただきます。
◎監査・保証の一元化の動きも! 国際動向にみるサステナビリティ保証のゆくえ・・・上妻京子:大学の教授、この分野の第一人者でサステナビリティ情報開示・保証の寄稿多数見かけます。
◎千差万別の実務は統一可能か サステナビリティ保証の論点整理・・・岡野泰樹:若手の准教授。この方が執筆された統合報告書保障の書籍読みましたが、今後学術的にこの分野を支えるであろう一人だと思いました。
◎保証実務の現場から:①監査法人の保証・・・遠藤英昭•吉田智紀:PwCの保証人。実務経験豊富な方と推測します
◎保証実務の現場から:②サステナビリティ専門会社の保証・・・福島隆史:サステナビリティ情報保証を民間で事業として始めた草分け的な方。保証実務を日本で最もこなしている方の一人だと思います。
◎基準の一貫した運用と報告書の充実による信頼性確保を サステナビリティ保証に対する利用者の期待・・・芹口尚子:野村証券。日本のサステナ保証の在り方を決めるワーキンググループのメンバーも務められています。

企業会計2024年6月号 | 中央経済社ビジネス専門書オンライン (biz-book.jp)

以下が気になったポイントになります。
◎保証の世界動向はサステナ報告書全体を保証するEUとその他地域。ISSA5000が今年9月にリリースするのと並行して、日本では「サステナビリティ情報の開示と保証の在り方に関するワーキング・グループで保証の在り方を議論中。
◎TNFDは中期的に自然関連財務情報が限定的保証の対象になると明示している。
◎Scope3はScope1-3の80%占める。そしてScope3の15カテゴリのうち上位2カテゴリが全体の80%を占める。したがって、ざっくりでもいいのでScope3の重要な領域を把握することが大切、開示規則・保証規則を課す目的はGHG排出量の算定自体ではなく、社会全体でGHG排出量を削減することにある。
◎繋がり情報はサステナ情報間だと環境間(例:生物多様性は世界のGHG排出量の50%を吸収)と環境/社会間が論点。タクソノミのDNSH検討がサステナ情報間のつながりに活用できる。また財務諸表とサステナ情報とのつながりは移行計画がポイント。
◎サステナビリティー保証論点は①保証命題(過去は定量→保証しやすい、将来は定性→保証しにくい)②保証範囲③保証主体(CPA化その他か、財務諸表監査人かその他か)④保証基準(ISSA5000)⑤保証水準(合理的、限定的、混合)⑥保証報告書
◎保証するにあたってのポイントは①マネジメント層の意識②内部統制の整備/運用(ダメな例:算定バウンダリが網羅的でない)③専門性ある人材の獲得/育成