ESG識者である伊藤教授へのインタビューです。「ESG人材戦略の変革」及び「ESG情報の可視化」が変更のキーになるとのこと。私見ですが、大半の企業は「ESG人材戦略の変革」は後回しにして、とりあえず法令で求められた範囲での「ESG情報の可視化」で手一杯という印象を受けます。

一橋大・伊藤邦雄氏「経営者は2つの変革で有限実行すべし」 | 日経ESG (nikkeibp.co.jp)

これからはサステナビリティを踏まえた長期の経営戦略の重要性が増す。ただ、戦略を決めたら終わりではない。次は実践だ。サステナビリティに関わるリスク対応に加え「オポチュニティ(機会)」を的確に捉え、稼ぐ力に変える。それにはE(環境)やS(社会)、G(ガバナンス)のそれぞれに精通する人材や、ESGのいずれにも精通する統合型人材を育成することだ。経営者がそうした人材を長期戦略の実践のために配置し、「有言実行」しようとするストーリーを伝えられれば、投資家側も戦略の実践に本気で取り組んでいるという感触を得られ、企業のPBR(株価純資産倍率)、つまり企業価値は上がっていくだろう。

23年はより多くの企業が人的資本の情報開示の充実に取り組むと期待できる。こうしたサステナビリティ情報の「可視化」、つまりビジュアライズの変革もキーワードとなるだろう。これを「VX(ビジュアライズトランスフォーメーション)」と呼んでいる。仮に同じ成果を上げても、情報の表現次第で読み手の受け止め方が変わる。表現方法に企業の能力が表れる。その能力は相当の無形資産と言える。

ROE、ESG、PBRはいずれも伊藤教授からの発信が今のムーブメントを作るきっかけになってます。伊藤教授は学者らしからぬ非常に目立つ方なので、「学者としてうさんくさくない…?」といった意見も耳にします。しかし個人的にはご自身の主張を形にして世の中に問う姿勢は大変好感をもってます。少なくともほとんど行動していない学者よりもはるかに世の中に貢献されていると思います。

2月10日に東京証券取引所が「サステナビリティ・トランスフォーメーション銘柄(SX銘柄)」を創設するそうです。ESGマネーは急増しているため、これらを日本の証券市場に取り込むための策の一つと思います。これによってPBR1倍割れ問題を打破するきっかけとしたいと考えていることでしょう。

サステナビリティ・トランスフォーメーション銘柄(SX銘柄)創設について | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)

経済産業省と株式会社東京証券取引所(以下「東証」という。)は、投資家等との建設的な対話を通じて、社会のサステナビリティ課題やニーズを自社の成長に取り込み、必要な経営改革・事業変革によって長期的かつ持続的な企業価値創造を進めている先進的企業を「サステナビリティ・トランスフォーメーション銘柄(以下「SX 銘柄」という。)」として選定・表彰し、変革が進む日本企業への再評価と市場における新たな期待形成を促す事業を開始します。