PBR1倍割れ企業にプレッシャーをかけた3月末東証からの「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」。この要請の結果、PBR低い会社ほど”PBR/ROEの改善計画の開示に積極的、という傾向が見えてきました。

東証 PBRが低い企業ほど開示が進展|3620号|2023年09月11日|経営財務DB (zeiken.co.jp)

東京証券取引所が3月末に要請した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を踏まえた企業の開示状況等が明らかになった。東証が3月期決算企業を対象に7月14日時点のコーポレート・ガバナンス報告書(CG報告書)等を調査したところ、プライム市場の31%(379社)・スタンダード市場の14%(120社)が取組み等を開示していた。

プライム市場について、PBRと時価総額水準別に開示状況をみると、PBRが1倍未満、かつ時価総額が1,000億円以上の企業の開示率が最も高かった(図表3)。一方で、PBRが1倍以上の企業や時価総額が低い企業では、相対的に開示が進んでいなかった。

【図表3】PBR/時価総額水準別の開示状況(プライム市場)

今回の要請は、プライム・スタンダード市場の全上場企業が対象となっており、PBRが1倍を超える企業であっても開示が求められる。この点、PBRが1倍を超えていれば関係ないと誤解している企業もあるため、東証では、改めて要請内容の周知を行う方針だ。

PBR1倍未満企業の具体的な取組みとしては、成長投資や株主還元の強化、サステナビリティへの対応、人的資本投資、事業ポートフォリオの見直しなどが多い(図表4)。

【図表4】PBR1倍未満企業の改善に向けた取組み内容

ただし、取組み等が開示されている場合でも「既存の開示を参照するのみで、資本コストを踏まえた現状分析・評価に関して言及がないなど、投資者との建設的な対話を進める観点で、記載が十分ではない事例も一定程度見られる」としている。