パリ協定では地球の気温上昇を1.5度以内に抑えるべく5年ごとに目標を国連に提出するよう求めています。次は2035年、日本はG7で明示された2019年比60%減を軸に議論する見込みとのことです。
CO2削減「35年度60%」が軸 政府新目標、G7に足並み – 日経GX (nikkei.com)
一見野心的な目標に見えますが、EUは2040年に2019年比で9割削減という目標を打ち出していますので、こちらに比べると見劣りするのは否めません。
日本の目標は十分に野心的だと政府は主張するが、46%目標も1990年度比で言えば40%に過ぎない。さらに1人当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を見ると、日本は90年度以降横ばいだが、英国やフランスは着実に減らしていることが分かる。基準年を統一すべきだという議論もパリ協定の策定作業ではあったが、ルールを厳しくすると離脱する国が出る恐れがあった。
またEUのように2040年目標を出すという案も経産省内では練られている。企業の脱炭素事業への投資を含めた政策の予見性を高める狙いがある。
化石燃料を重視する企業などからは、米国では気候変動に否定的な見解を繰り返すトランプ氏が24年11月の大統領選で再選を果たすのに期待する声も出ているという。ただ、経産省の幹部は「(トランプ再選でも)4年後に民主党の大統領が誕生したらまた一緒。我々は菅総理の時代に決めたことをぶれずに淡々と進める」と語る。
新たな目標は企業にも大きな影響を与える。政府は35年度目標の達成に向けて、排出量取引への参加義務づけや炭素税の規模見直しなどカーボンプライシングを強化する可能性がある。企業は研究開発中の脱炭素技術の実用化を急いだり、社内炭素価格(ICP)などの仕組みを通じた意識改革を進めることが求められる。