デジタル化の進展に伴い、今まで他人に任せていた仕事を今ではデジタル機器を使って自分自身でこなす時代になりました。その結果「時間を費やす無報酬の仕事/シャドーワーク」が増えて労働者の生産性が落ちている、という記事です。例えば、CFOの皆様も部下や秘書に任せていた仕事をご自身のデジタル機器で対応することが多くなったのではないでしょうか?CFOが部下の仕事を肩代わりするようになり、その結果CFOがやるべき仕事ができなくなったとしたら、理屈上は生産性が落ちますね。

「影の仕事」で生産性低下も: 日本経済新聞 (nikkei.com)

「筆者は最近、自分のスマホに新しいアプリをいくつかダウンロードし、子供の大学受験に向けた家庭教師への支払いや、受講の予約、海外での休暇予定作りなどに利用した。これらはとりわけ珍しいことではない。そして米国ならではの、医療関連の面倒なシャドーワークをせざるを得なかった。医療機関に提出する情報の入力、家族の保険金請求、そして、さまざまな機関がお互いにコストを押し付け合う極めて細分化された複雑なシステムの中で頻発する払い戻しやミスの修正に追われる羽目になった。」

「こうしたシャドーワークは人間の仕事を減らし、価格の引き下げにつながるといった見方もあるだろう。確かにそうかもしれないが、経済全体としてみた場合、効率的なのだろうか。職を必要としていて、仕事を始めたばかりの労働者のほうがはるかにうまくこなせる作業を、高給取りの知識労働者である筆者が週に何時間も費やさざるを得ないことに問題はないのだろうか。」

「ランバート氏は、シャドーワーク増加の負の影響の一つとして、サービス業で初級レベルの仕事がなくなることを挙げている。米ブルッキングス研究所が19年に実施した調査では、最も賃金が低い仕事が自動化のリスクにさらされていることがわかった。これは、特に若年層や人種的マイノリティーの生活が脅かされることを意味する。テクノロジーの進歩に追いつくために国家が教育を改善しない限り、こうした労働者の多くは仕事に就けなくなり、生産性や経済成長の低下につながる。」

DXの波には抗えないことは19世紀のラッダイト運動が示す通りです。当時は機械化を阻止すべく機械破壊運動が活発化しましたが技術革新は止まることなく今日に至ります。なお、DXの進展に伴い個人の雇用機会が奪われることを懸念してITサービスの利用を控えたりする行為をネオ・ラッダイト運動と呼ぶそうです。

ネオ・ラッダイトとは? | 経済用語集 (glossary.jp)

個人的にはDXの推進に伴い、業務が高度化/細分化/ブラックボックス化され昔よりも仕事に対して面白みを感じることが少なくなってきた方が廻りに増えてきたことに危機感を感じています。しかし、DXの波を止めることは非現実的かつ非合理的です。そうなると、DXを理解してDXと積極的にどう関わっていくか向き合うことがDXの推進に伴う負の影響を抑える一つの解なのかもしれない、と筆者は最近考えています。筆者もいい歳ではありますが、今週から最近噂のChat GPTを使い始めました。利用した感想は後日投稿させていただきます。

ChatGPT(チャットGPT)とは 最新ニュース・解説 (nikkei.com)