昨年末に話題となった2023年3月期有価証券報告書にサステナビリティ開示を盛り込む内閣府令が1/31付で公布・施行されました。改正案についてパブリックコメントも同時に公表されています。個人的には改正案の内容よりもパブリックコメントで寄せられた声が気になっています。パブリックコメントに関する感想は後日投稿します。

「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等の公表について:金融庁 (fsa.go.jp)

主な改正内容は以下の通りです。3項目ありますが1がダントツで改正の目玉です。各社で話題になっていた改正項目は赤字にしています。なお「記述情報の開示の好事例集2022」の公表(サステナビリティ情報等に関する開示)も併せてリリースされました。同日リリースということで”これ見ながら新しい内閣府令に対応した開示を考えてくれ”ということなのでしょう。

「記述情報の開示の好事例集2022」の公表(サステナビリティ情報等に関する開示) (fsa.go.jp)

「【1】サステナビリティに関する企業の取組みの開示
(1)サステナビリティ全般に関する開示

1.サステナビリティ情報の「記載欄」の新設(企業内容等の開示に関する内閣府令(以下「開示府令」)第二号様式「第二部 第2【事業の状況】」及び同様式 記載上の注意「(30-2)サステナビリティに関する考え方及び取組」 等)

有価証券報告書等に、「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄を新設し、「ガバナンス」及び「リスク管理」については、必須記載事項とし、「戦略」及び「指標及び目標」については、重要性に応じて記載を求めることとします。また、サステナビリティ情報を有価証券報告書等の他の箇所に含めて記載した場合には、サステナビリティ情報の「記載欄」において当該他の箇所の記載を参照できることとします。

2.将来情報の記述と虚偽記載の責任及び他の公表書類の参照(企業内容等の開示に関する留意事項について(以下「開示ガイドライン」))

将来情報について、一般的に合理的と考えられる範囲で具体的な説明が記載されている場合には、有価証券届出書に記載した将来情報と実際に生じた結果が異なる場合であっても、直ちに虚偽記載等の責任を負うものではないこと、また、当該説明を記載するに当たっては、例えば、当該将来情報について社内で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものである場合には、その旨を、検討された内容(例えば、当該将来情報を記載するに当たり前提とされた事実、仮定及び推論過程)の概要とともに記載すること、が考えられること等を明確化することとします。サステナビリティ情報や取締役会等の活動状況の記載については、有価証券届出書に記載すべき重要な事項を記載した上で、その詳細な情報について、他の公表書類を参照すること、また、他の公表書類に明らかに重要な虚偽があることを知りながら参照する等、当該他の公表書類の参照自体が有価証券届出書の重要な虚偽記載等になり得る場合を除けば、単に参照先の書類の虚偽表示等をもって直ちに虚偽記載等の責任を問われるものではないこと、を明確化することとします。

(2)人的資本、多様性に関する開示(開示府令第二号様式 記載上の注意「(29) 従業員の状況」、「(30-2)サステナビリティに関する考え方及び取組」及び開示ガイドライン)

 人材の多様性の確保を含む人材育成の方針や社内環境整備の方針及び当該方針に関する指標の内容等について、必須記載事項として、サステナビリティ情報の「記載欄」の「戦略」と「指標及び目標」において記載を求めることとします。また、提出会社やその連結子会社が女性活躍推進法等に基づき、「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女間賃金格差」を公表する場合には、公表するこれらの指標について、有価証券報告書等においても記載を求めることとします。なお、これらの指標を記載するに当たって任意で追加的な情報を記載することが可能であること、サステナビリティ記載欄の「指標及び目標」における実績値にこれらの指標の記載は省略可能であること、男女間賃金格差及び男性育児休業取得率を記載するに当たって注記すべき内容について、開示ガイドラインにおいて明確化することとします。

(3)サステナビリティ情報の開示における考え方及び望ましい開示に向けた取組み(「記述情報の開示に関する原則」)

WG報告で提言されたサステナビリティ情報の開示についての期待等を踏まえて、サステナビリティ情報の開示における考え方及び望ましい開示に向けた取組みを取りまとめました。なお、主な内容は、以下のとおりです。
・「戦略」と「指標及び目標」について、各企業が重要性を判断した上で記載しないこととした場合でも、当該判断やその根拠の開示が期待されること
・気候変動対応が重要である場合、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標及び目標」の枠で開示することとすべきであり、GHG排出量について、各企業の業態や経営環境等を踏まえた重要性の判断を前提としつつ、Scope1・Scope2のGHG排出量については、積極的な開示が期待されること
・「女性管理職比率」等の多様性に関する指標について、連結グループにおける会社ごとの指標の記載に加えて、連結ベースの開示に努めるべきであること

サステナビリティ情報については、現在、国内外において、開示の基準策定やその活用の動きが急速に進んでいる状況であるため、サステナビリティ情報の開示における「重要性(マテリアリティ)」の考え方を含めて、今後、国内外の動向も踏まえつつ、本原則の改訂を行うことを予定しています。

【2】コーポレートガバナンスに関する開示(第二号様式 記載上の注意「(54)コーポレート・ガバナンスの概要」、「(56)監査の状況」及び「(58)株式の保有状況」 等)

取締役会や指名委員会・報酬委員会等の活動状況(開催頻度、具体的な検討内容、出席状況)、内部監査の実効性(デュアルレポーティングの有無等)及び政策保有株式の発行会社との業務提携等の概要について、記載を求めることとします。なお、WG報告の提言のうち、「重要な契約」の開示については、引き続き具体的な検討が必要なため、別途改正を行うこととします。

【3】その他(「開示用電子情報処理組織による手続の特例等に関する内閣府令」)

EDINETが稼働しなくなった際の臨時的な措置として代替方法による開示書類の提出を認めるための改正を行うこととします。」