舞台は米国上下両院。年金運用でESGを考慮した投資判断を禁じる決議案です。民主党が推進しましたが共和党に潰されました。アメリカには企業年金の受託者責任を義務づけたエリサ法があります。エリサ法は年金受託者の利益を最大限追及することを目的に1974年に制定されました。民主党はエリサ法を改定し運用者がESG要素を取り入れて投資対象を選別した議決権を行使したりできるようにしようとしました。しかし共和党は「ESGと年金受託者の利益はつながらない。国民の利益よりもリベラルな政策を優先させるな」と反発しました。バイデン氏は拒否権を行使する見込みとのこと。
ちなみにこの手の話は古くて新しいそうです。ESGが盛り上がる前は「反たばこ会社」「反アパルトヘイト」を投資先選定に組み込むか否かが議論になったとのことです。
押し寄せる反ESGの波 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
決議案で共和党が強調したのは、ESG投資が運用成績の向上につながっていない事実だ。ESGファンドに組み込まれている企業の業績は、一般のファンドの組み入れ銘柄より悪かったというコロンビア大学などの調査も引き合いに出した。こうした議論は、地元のエネルギー企業を擁護するテキサス州などが、ESG投資を推進する資産運用会社を州の年金運用から排除する材料となっている。これまでESG投資の旗振り役だった資産運用大手ブラックロックやバンガード・グループなどにとっても、ESGは逆風に変わりつつある。各社の22年の年次報告書では、ESGへの関わり方がリスク要因になるとの指摘が相次いだ。