2023年3月期から有価証券報告書でも開示対象となる男性育休取得率。人材の獲得競争を優位に進めるため自主的に開示するケースが増えているそうです。

男性育休率を積極開示 企業、公表義務化に先行 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

育休は原則1歳未満の子を育てる男女が取得でき、保育所に入れないといった場合に最長で2歳になるまで延長できる。一定の要件を満たせば、休業中に育休給付などの経済支援を受けられる。厚労省は4月から従業員1001人以上の企業に、男性の育休取得率の公表を義務づける。厚労省の両立支援サイトや企業ホームページで開示してもらう。従わない場合は行政指導も視野に入れる。行政指導には口頭での助言、書面での勧告、指導事実の公表がある。

厚労省のホームページで公表している積水ハウスや日本生命保険は100%に達する。積極的な公表姿勢の裏側には、働きやすさを訴えなければ人材確保がままならないとの危機感がある。大成建設は16年に公表を始めた。17年度以降に子が生まれた男性の育休取得率は100%になった。出産直後の育休を有給休暇として給与を全額保障するなど積極取得を求めている。「新卒の採用活動に良い影響があった」(同社担当者)といい、社内外へのアピールにつながった。公表義務化で「取得率の低い企業も改善に取り組むのではないか」と話す。

義務化の対象とならない企業でも公表する動きがある。従業員数が約150人の屋根用金具製造のサカタ製作所(新潟県長岡市)は取得率100%を達成する。同社担当者は「正社員の確保が難しい状況で、育休取得率の高さや残業の少なさが小さい子どもを持つ20代、30代前半の男性の人材確保につながっている」と分析する。取得率が低い企業でも企業姿勢を訴える目的で公表している。米菓大手の三幸製菓(新潟市)は8%と低いが、両立支援の仕組みを整えているといい「公表をマイナスには感じていない」(同社担当者)という。

経済協力開発機構(OECD)加盟国内で、日本の育休制度は有給休暇の長さなど内容では優れた部類に入る。ただ男性の育休取得が進んでいるとは言い難い。厚労省の雇用均等基本調査によると、日本の男性の育休取得率は21年度に14%と低く、公表義務化で国内企業の取得促進を狙う。政府は25年に30%まで高める目標を立てている