ウクライナ侵攻を機に世界の貿易にも分断が目立ってきました。ロシアは西側の経済制裁の穴を中国、インド、トルコ、エジプト等の取引で埋めています。その結果ロシアの経済成長率は22年△8.5%ですが23年1月時点では△2.2%とマイナス幅が縮小しています。インド、エジプトはいわゆる”グローバルサウス”に属します。
フェアネスを問う 貿易が映す世界の分断 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
ユーラシア大陸にロシアを起点とする新たな経済圏が生まれつつある。2022年の貿易データを21年と比較すると、中国、インド、トルコの3カ国が対ロ貿易を大幅に増やしていた。ロシア最大の貿易相手である中国は、22年の貿易額が前年比29%増の1902億ドル(約25兆円)に達した。中国にとっては安価なエネルギー輸入が貿易の柱だが、自動車などの輸出も増やすことで制裁下のロシア経済を下支えしている。インドにいたっては22年1~11月の対ロ貿易が前年同期比3.6倍と大幅に伸長した。足元の貿易額は379億ドルと、前年同期比で20%減らしたドイツの434億ドルに迫る。日本貿易振興機構アジア経済研究所の早川和伸氏は「インドは西側がロシアとの取引を断った分野で穴を埋めている」と指摘する。
ロシアとの取引を増やした国はユーラシアにとどまらない。エジプトも果実やプラスチックなど日用品の対ロ輸出を増やしている。インドやエジプトは南半球を中心にウクライナ戦争に中立的な立場の「グローバルサウス」に属する。早川氏は「中立国は経済の分断から利益を得ている」とみている。国際通貨基金(IMF)は、侵攻から2カ月後にロシアの22年の経済成長率をマイナス8.5%と予測した。その後は予測の上方修正を重ね、23年1月末時点ではマイナス2.2%としている。ユーラシア大陸を中心とした新たな交易関係が、制裁下のロシア経済を支えている。