ESRSの公開草案がリリースされました、コメント募集後に8月確定する予定です。ESRSとISSB/IFRSの基準と整合性をとってほしいというコメントが公開草案に寄せられました、おそらくESRSが採用するダブルマテリアリティとISSB/IFRSが採用するシングルマテリアリティを念頭に置いていると思われます。なお、”CSRDは厳しすぎる”という声に配慮して750人未満の企業に配慮した規定が公開草案に盛り込まれました。

欧州委員会は7月7日まで、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の公開草案へのコメントを募集した。コメント対応の後、8月中には確定版を採択する予定。適用初年度は「予想される財務的影響(anticipated financial effects)」の開示を省略できる経過措置などを盛り込む見込みだ。

EFRAG草案には経過措置が盛り込まれていたが、欧州委員会の公開草案ではさらなる措置が追加された。従業員が750人未満の企業は適用初年度、温室効果ガスのスコープ3排出量の開示を省略することができる、などの措置だ(図表参照)。なお、従業員750人未満の企業に対しては、S1号(自社の従業員)の適用については1年間、S2号(バリューチェーンの従業員)、S3号(影響を受けるコミュニティ)、S4号(消費者と最終利用者)の適用については2年間の免除規定を設けている。

公開草案に寄せられたコメントは約600件。国際団体としては、国際会計士連盟(IFAC)や国際会計士倫理基準審議会(IESBA)などがコメントを提出し、IFACはISSB基準との違いを解消することが必要だとした。また日本からは全国銀行協会が、欧州のサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)との違いを懸念するコメントを提出した。