公認会計士・監査審査会(CPAAOB)は令和5年版モニタリングレポートを公表しました。公認会計士業界の最新動向をマクロの視点で把握している有用なレポートです。気になった点を抜粋しました。

「令和5年版モニタリングレポート」の公表について (fsa.go.jp)

大手監査法人の上場会社監査割合(会社数ベース)はこの5年で約10%ダウンしました。

大手から中小への監査人変更が前年比減少に転じています、しかし依然高水準です。

準大手/中小監査法人では人手不足の影響からか非常勤の割合は大きいです(準大手:20%、中小:57%)

中小規模監査事務所3社が総合評価2でした、大手並みの品質と認められた証です。一方で準大手監査法人に総合評価2はなく1社総合評価4があります。PwC京都が総合評価2を獲得できていないのは意外でした。

なお、上記検査結果も影響したのか、2023事業年度(23年4月-24年6月)のCPAAOBモニタリング計画において準大手監査法人への検査ペースが3年に1回から2年に1回のペースに変更することが盛り込まれました。

金融庁、準大手監査法人の検査強化 2年ごとに立ち入り – 日本経済新聞 (nikkei.com)

審査会が14日公表した2023事務年度(23年7月〜24年6月)の監査法人へのモニタリング基本計画に盛り込んだ。対象は仰星、三優、太陽、東陽、PwC京都の5つの準大手監査法人。検査では管理と監査部門の連携や、経営陣が監査の質を重視する組織風土づくりで実効性ある取り組みをしているか検証する。上場企業の監査の担い手として準大手監査法人の存在感が高まっている。18年度にはあずさ、トーマツ、EY新日本、PwCあらたの四大監査法人が上場企業の7割超の監査を担っていたが22年度は6割に低下。一方、準大手の比率は1割超から2割弱に上昇した。監査報酬が比較的安いことが準大手や中小監査法人へのシフトの背景にある。今回、検査を強化する5つの準大手監査法人を巡っては、審査会が16〜22事務年度に実施した検査で、5段階評価で中間の「業務運営が良好でない」に4先、下から2番目の「業務運営が良好でなく特に早急な改善が必要」に1先が該当した。