企業のESG活動の成果は①企業のPLに現れるパターンと②企業のPLには表れないが社会に影響を与えるパターンの2つがあります。このうちの②についてインパクト会計という手法を用いて②の価値を可視化する動きが広まっているという記事です。

ESG価値算出、投資の呼び水に – 日本経済新聞 (nikkei.com)

企業が生み出すESG(環境・社会・企業統治)価値を金額に換算して開示する取り組みが広がっている。ヤマハ発動機は途上国での浄水システム設置事業で約1500万ドル(約22億円)の社会的価値を創出したと開示した。非財務情報に基づく価値を「見える化」することで投資家の再評価を促し、マネーの呼び込みにつなげる。

ヤマハ発はインドネシアやセネガルなど約10カ国で手がける小型浄水システムのESG価値を評価した。同システムは砂ろ過や微生物の働きで川や湖の水から飲料水を作る。住民の水くみ時間が短くなることや清潔な水を使うことで生存年数が長くなることに着目。期待される住民の収入増加額から価値を計算した。例えばインドネシアでは浄水システムで恩恵を受ける住民1人につき年99ドルの収入増が見込める。年間収入の5%増に相当する。他国も含めて2011年以降に設置した37基を対象に初年度からの価値を積み上げると、受益者が延べ約3万9000人、社会的価値が1540万ドルになった。22年12月期の統合報告書などで開示した。活用したのが米ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)が提唱する「インパクト加重会計(Impact Weighted Accounting=IWA)」だ。企業が創出するインパクトを一定の手法で金額価値に換算する。

算出支援サービスも広がる。EYジャパンはIWAを活用したインパクト可視化の支援サービスを7月から本格開始した。6月、HBSのIWA推進組織の設立メンバー、デービッド・フライバーグ氏をシニアマネージャーに迎えた。日本でIWAでの金額換算に取り組む企業は22年で十数社、開示企業は数社だったもよう。EYジャパンによると今年は2倍以上に増える可能性があるという。牛島慶一プリンシパルは「企業は環境や社会にどんなインパクトを与えるかを積極的に示し、投資家の理解を促すべきだ」と話す。コモンズ投信の伊井哲朗社長は「非財務の取り組みがどう企業価値にひも付くのか具体的に説明されれば、企業に対する解像度が上がり長期目線で投資しやすくなる」と指摘する。プレミアムが上乗せされ、投資尺度の押し上げにつながる可能性がある。

参考までにエーザイの統合報告書2023から抜粋です。

価値創造レポート2023 (eisai.co.jp)