ソフトバンクがグループ全社を対象範囲にして30年までにスコープ1および2をゼロ、50年までにサプライチェーンを含めてスコープ3をゼロにするネットゼロ宣言を示しました。データセンターも地産地消にすることで電力消費のリスクと災害リスクを削減する。ESGの世界的な指標であるDJSI Worldにも初選出されました。
ソフトバンク、ネットゼロへ データセンターを分散 | 日経ESG (nikkeibp.co.jp)
同社は23年6月、ESGの世界的な指標である「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックス(以下、DJSI World)」に初めて選定された。DJSIには、北米、欧州、アジア・パシフィックなどのインデックスがあり、「ワールド」はその最高位に位置する。時価総額で世界上位3500社が評価対象で、「ガバナンス・経済」「環境」「社会」の3分野で細かく採点される。評価は61種類の業界別に行なわれ、各業界のトップ10%が選定される。23年は世界で333社がDJSI Worldに選ばれ、ソフトバンクは総合得点で27位と評価された。日本企業は37社が組み入れられたが、同社の評価は最高点を獲得した。
CSR本部CSR企画1部環境推進課課長の木村幸絵氏は、「『カーボンニュートラル2030宣言(スコープ1、2)』『ネットゼロ宣言(50年スコープ3)』の達成に向けて3つの主な取り組みを推進している」と話す。方針の1つ目は使用電力全体の約65%を占める携帯電話基地局の変革だ。基地局の使用電力の80%を、23年度中に再生可能エネルギー由来の電力に切り換える。成功の鍵はいかに安価で安定的に再エネ由来の電力を確保できるかだ。現在、非化石証書を活用した実質再エネ化を進めており、今後は直接的な再エネ化を進展させる。「大半を長期の再エネ調達契約による電力で確保し、不足部分は非化石証書を活用した実質再エネを充当する計画だ」(木村氏)。2つ目は、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)など、新たなテクノロジーを活用する環境負荷の軽減だ。人感センサーを含む多様なデバイスとAIを組み合わせ、データを活用して空調やエレベーターのような建物の設備を効果的に運用し、エネルギー効率を高めていく。3つ目は高容量でエネルギー密度の高い蓄電池の開発だ。用途の1つが、ソフトバンクが地上約20kmで展開する成層圏通信プラットフォーム「HAPS(High Altitude Platform Station)」である。HAPSは、成層圏を飛ぶ無人飛行機型の基地局で、太陽光などの自律型発電で電力を100%賄っている。基地局に蓄電池を搭載して、発電した電力を蓄える。