KPMGがCDRD/ESRSで今後話題になる論点として①CSRD/ESRSとISSB基準との関係②ESRSとISSB基準との同等性評価③域外適用、の3点です。ボーナストラックとしてフランスが公表しているCSRD開示に関する限定的保証業務のガイドラインを説明しています。個人的には結構濃い内容でした、無料でこのような開示を披露頂けることにKPMGの懐の深さ(余裕?)を感じます。

CSRDの最新動向、先読み3大論点、そしてフランスのCSRD限定的保証ガイドライン – KPMGジャパン

①CSRD/ESRSとISSB基準との関係:ISSB基準はグローバルベースラインであるため、ESRSあってもISSB基準を基礎としている、ということです。

ECはESRSのセクター共通基準を最終化した際に同時に公表したQ&Aにおいて、ESRSはISSB基準をそのなかに取り込むサステナビリティ開示基準であり、それがISSB基準をエンドースメントするIOSCO ( 証券監督者国際機構)の意向にも沿うものであるという趣旨の記載を行っています。ECのこうしたスタンスは不変である可能性があります。したがって、開示企業がサステナビリティ開示および内部統制構築に係るプロジェクトを実施する場合には、CSRD/ESRS対応を行うことが同時にISSB基準対策にもなる可能性があると思われます。

ISSBは、S2の気候関連に続く基準書開発のテーマを検討中です。そのうちESG トピックに関するテーマ候補は、「生物多様性・エコシステム・エコシステムサービス( 以下、「BEES 」という)」、「人的資本」、「人権」の3つです。BEESには、ESRSの基準書にも含まれている生物多様性、汚染、水・海洋資源、サーキュラーエコノミーが含まれます。

ちなみにESRSの特徴は①Materiality評価②Phase-inアプローチ、だそうです。①は、ESRS2以外4は重要性なければ省略可、ただしE1ですべての開示を重要性ないと判断する場合は詳細な説明が必要になること、E1以外は簡単な説明を付すことができるがSFDRで開示が求められるが重要性ないと判断している小項目ある場合は、その旨の明治が必要です。②は段階導入を指しています。

②ESRSとISSB基準との同等性評価:下記A2の②はダブルマテリアリティのことを指しているとのこと。ISSBがシングルマテリアリティであってもESRSと同等と認められるのではないか、コメントしてます。踏み込んだ内容です、KPMGさすがですね。

Q1誰が同等性を評価するのか?
A1EC(欧州委員会)です。
Q2どういう判断基準なのか?
A2その開示基準が、①ESGを含むこと、②企業がサステナビリティに与える影響およびサステナビリティが企業に与える影響を開示するように求めていることです。

第2 の判断基準は、いわゆるdouble materialityを求めていると理解されることがありますが、double materialityという用語は条文では使用していません。したがって、必ずしもdouble materialityそのものを求めていると理解する必要はないように思われます。また、ISSB基準のS1も、自分が採用するmaterialityの概念については明言していません。

③域外適用:おそらく域外適用向けルールは、現行CSRD/ESRSを一定程度ディスカウントした内容になるのではないか、とのこと。同感です。これを諸外国にそのまま求めのはやや無茶な気がします。あとは保証基準のレベル感が固まったらそれ次第でグローバル内部統制の精度に影響出ます。フランスに限定的保証業務に関するガイドラインが公表されました。こちらが参考になりそうです。ダブルマテリアリティを前提に作成されているとのこと。