刺激的なタイトルです。11月米国大統領選挙でトランプが勝利したらどうなるか?共和党と民主党とでESG投資に関する考え方について真っ向から主張が異なるため注目が集まっています。結論としてはESG投資に関する政策は大きく変わることになるが、ESG投資残高がどの程度変化するかは読みにくい。なぜならバイデン政権下でESG投資残高はすでに半減しており更に減るかどうかは見極めが必要、とのことです。

年金制度におけるESG要因の考慮
年金制度に関連しては、積立金運用におけるESG要因の考慮の是非について、民主・共和両党の政策が激しく対立している。確定給付型年金制度の制度管理者は受託者責任を負っており、加入者・受給者の利益に専念すべきとされるが、積立金運用において ESG 要因を考慮することがこの受託者責任に反するか否か、見解の相違は大きい。確定拠出型年金制度でも、投資商品メニューを選定する際に投資収益最大化以外の要因を考慮できるのか、また加入者向け情報提供において、ESG 投資商品が収益最大化以外の要因を考慮していることをどのように伝えるべきか、問題となる。

証券取引委員会(SEC)によるESG規制
証券取引所規則や上場企業の情報開示制度を所管する証券取引委員会(SEC)の政策も大幅に変わりそうだ。バイデン政権の下では、ESG投資を普及させるため、上場企業に対してESGに関する様々な取り組みを求めたり、関連する情報開示規則を検討したりしてきた。共和党の政策では、これを抜本的に見直すとしている。
④ 気候変動関連の情報開示の見直し
共和党は、上場企業が投資家向けに開示すべき情報は、金銭的なリスクやリターンに関するものに限るという基本姿勢を取っており、SECがESG要因を開示規制に取り込もうとすることに懐疑を示している。社会的、イデオロギー的、政治的、または「人的資本」に関する情報の開示をSEC が要求することは禁止される。特に、現在検討が進められている気候変動に関する情報開示は、上場企業に対して大きなコスト負担を強いる恐れがあるとして、共和党は導入に強く反対
している。

自社株買いに関する牽制措置の撤廃
民主党の議員らの間では、上場企業の自社株買いが不適切に実施されているとの疑いが持たれている。自社株買いによって株価を吊り上げて、経営者や大株主が利益を得ているという批判などが根強い。自社株買いに資金が投入されることによって、従業員の処遇改善や将来の成長投資が損なわれているとも指摘された。そこでバイデン政権では、自社株買いを実施しにくくするための政策が進められた。
⑧ 自社株買い課税の撤廃
まずは、自社株買いに課税する新たな税制が設けられた。自社株買い課税は、2023年以降、上場企業が自社株買いを行う際に株式購入額の1%を税として徴収するというものだ。共和党はこの税制の撤廃を政策としている。
自社株買い課税に続いて提案されたのが SEC 規則による自社株買い開示制度の強化だ。自社株買いの情報が透明化されれば、不適切な自社株買いは行いにくくなると考えられるからだ。しかし、自社株買いに関する情報開示を拡充する新規則は、裁判によって既に無効とされている。