2023年3月期有価証券報告書から人的資本の開示が義務づけられました。しかし、内閣府令において開示の裁量は大きく企業側にゆだねられている一方で、企業の備えは十分とは言えないのが実情です。

人的資本、御社の開示は有益ですか? 迫る有価証券報告書義務化: 日本経済新聞 (nikkei.com)

企業の備えは十分とはいえない。デロイトトーマツグループが22年7〜8月に東証プライム市場を対象に実施した調査(回答92社)によると、人的資本情報の測定や開示へ検討を始めていた企業は全体の86%に上ったが、具体的な取り組みの決定や実行段階に至っている企業は、そのうち2割程度。自社に必要な人的資本情報を特定している企業は7%にとどまった。

加えて、多くの企業は人的資本の開示に受け身のスタンスです。実際デロイトのアンケートによると”人的資本は外部の要請により開示する”と回答した企業が過半を占めました。

一方で投資家の人的資本に対する期待は大きく、企業と投資家との間で期待ギャップが生まれています。

経営コンサルティングのリンクアンドモチベーションが国内の機関投資家を対象に22年3月に実施した調査(回答数100件)によると、人的資本の情報開示が投資判断に影響するとの回答は69%を占めた。ある国内機関投資家は「投資先企業の離職動向などを転職情報サイトで収集することもある」と明かす。エンジニアなどの人材確保が、企業の成長性を大きく左右すると見ているためだ。企業と市場の意識の溝は深い。デロイトの岡本努パートナーは「『言われたから開示した』だけでは投資判断の役に立たない」と指摘する。「10年先にどういう事業で稼ぐのか。そのための競争力を形作る人材の能力や規模はどの程度で、十分な人材を確保するためどういった組織になるのか。投資家はストーリーを必要としている」

これらの期待ギャップを乗り越えるべく各社取り組みを始めていますが、まずは最高人事責任者(人事部長ではなく)を据えて経営戦略と人事戦略を連動させることが大事と書かれています。ひと昔前にCFOブームが到来したときと同じように、CHROがこれから大きくクローズアップされるのでしょう、時代の大きな波を私は今感じています。

「経営戦略と人材戦略の連動に関する責任者を明確にすることが、両戦略を連動させるための第一歩となる」。22年5月に経済産業省が公開した「人材版伊藤レポート2.0」は、冒頭にCHRO(最高人事責任者)の設置を提示する。経営陣の中で人材戦略の課題や施策に関する議論を主導し、KPI(評価指標)の達成に最終責任を負う司令塔が必要と見るためだ。

人的資本ってよくわからん…、という方は下記投稿をご覧ください、ご理解の助けになれば幸いです。

人的資本について知って頂きたいポイントをざっくりまとめました。 – CFOニュースPlus (cfonewsplus.com)