世界的な金利上昇が企業業績の重荷になっています、例えば固定資産減損、支払利息額の増大など。

金利上昇、企業業績に重荷 電通やTHKが減損計上 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

インフレ抑制を目的とした中央銀行の利上げを受け、22年は各国で長期金利が上昇した。QUICK・ファクトセットによると、代表的な指標である10年物国債の利回りは、米国で年間2.4%程度、欧州で2.7%程度上がった

支払利息額増大はすぐにピンときますが、なぜ金利上昇が固定資産減損に結び付くの?とお考えになる方いらっしゃるかと思います。そこでまずは割引率とは何か見てみましょう。

割引率 将来の価値を現在の価値に直すために使う利率。例えば利回りが5%なら現在の100円は1年後に105円となる。これを逆に計算すると1年後の105円の現在価値は100円となり、この計算で使う利回りを割引率という。固定資産や事業の現在価値の算定では、割引率に債権者や株主の要求リターンである加重平均資本コスト(WACC)が使われることが多い。WACCには国債利回りなどが反映される。市場金利が上昇するとWACCも上昇し、現在価値が減って資産の減損損失が発生する可能性がある。企業年金の退職給付債務の算定では割引率に国債や高格付け社債の利回りが参照されることが多い。

利回り1%で現在100円のモノの1年後の将来価値は101→1年後に101以上の将来価値を生み出さないと減損

利回り50%で現在100円の固定資産の1年後の将来価値150→1年後に150以上の将来価値を生み出さないと減損

その結果、最近固定資産の減損を行う会社が増えてきました。

金利以上にが上昇しているものの、原材料価格の高騰で物価上昇分はほぼオフセットされているのが実情と思います。金利が上昇すると株価は低下するという過去のデータもあります。一定程度世界経済が悪化するのは避けられないと私はみています。