公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用委託先の資産運用会社と国内企業とのエンゲージメント効果を検証しました。対話したら6%時価総額が増えるそうです。「それだけが原因じゃないだろ」という意見もあるかと思いますが、世界最大規模といわれる運用年金は日本のGDPの約3分の1(約200兆円)ですので、傾聴に値する情報と思います。
投資家と「対話」、時価総額6%増 GPIFが企業の効果検証 「取締役」テーマ、PBRも改善 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
運用会社が報告した対話記録を基に、対話内容のテーマを38に分類。特定テーマの対話を実施した企業と実施しなかった企業に分け、株価指標などについて、両者の差を調べた。対話の効果を幅広く定量的に分析した調査としては、世界的に類を見ない規模の試みという。
統計学的に意味があるとされた、テーマと株価指標など結果の組み合わせは11種類だった。対話の効果が大きかったテーマの一つが「取締役会構成・評価」。対話があった企業は、なかった企業に比べ時価総額が平均で6%大きくなった。PBR(株価純資産倍率、倍)も平均0.11ポイント改善幅が大きかった。
取締役会構成・評価は延べ6960件と、対話の中で最も多く言及されたテーマ。対話があった企業は、配当込み収益率や独立社外取締役の人数についても、対話のなかった企業に比べて有意な改善が見られた。
「気候変動」や「ダイバーシティ(多様性)」についても一定の効果が確認された。気候変動について対話があった企業では脱炭素目標の設定やPBRで有意な改善があった。ダイバーシティへの言及では時価総額が増加する傾向もみられた。
「少数株主保護」についても対話があると指標面での有意な改善が見られた。「経営戦略・事業戦略」も言及が多かった。大型株で対話があると自己資本利益率(ROE)が平均約2ポイント、対話のないグループを上回った。
分析の結果、全体としては「対話により指標などが悪化したケースはほぼなかった」(GPIF)としている。企業の規模別に3段階に分けて分析した場合では、最も規模が小さい企業群で指標面での改善が比較的多くなったという。
出典元は以下リンクになります。結局、事業+コーポレートガバナンスが中心ですね。
20240521_engagement_report.pdf (gpif.go.jp)
業種によって対話内容に濃淡あります。