毎日のようにこの手の話題は記事になりますが、デカップリングが継続することで誰が得するのか分析した内容が興味深かったので紹介させて頂きます。

(記者解説)中国経済へのジレンマ 依存しつつ安保で対立、リスクは習氏 編集委員・吉岡桂子:朝日新聞デジタル (asahi.com)

ジェトロ・アジア経済研究所のチームはデカップリングが世界経済に与える影響を調べた。米陣営(日欧など)と中ロ陣営、どちらの陣営にも加わらない中立国に分けて試算した。米国が中国に18~19年にかけて実施した関税率引き上げと同等の非関税障壁が25年以降も続く場合、30年の世界経済への影響はマイナス2・3%(約2・7兆ドル)に及ぶ。日米欧や中国もそれぞれ3・0~3・5%のマイナスとなる。両陣営と従来通り貿易ができる東南アジア諸国連合(ASEAN)や南米などはプラス0・3%と「漁夫の利」を得られる。チームは「対立が深まれば深まるほど、中立国にとってはどちらかの陣営に属するコストが高まるので、中立を維持する。このため、相手陣営をデカップリングによって世界全体から孤立させられない」としている。

デカップリングを主導している米中相互の貿易額も過去最大になっています。

米国は安全保障を理由に、中国との経済関係の切り離し(デカップリング)を強める。軍事技術につながる先端半導体などについて、サリバン米大統領補佐官が「小さな庭、高い柵を実行中」と表現したように、一部の製品を囲い込もうとしている。一方で、米商務省によれば22年時点での米中の貿易総額は6906億ドル(約90兆円)と4年ぶりに過去最高を更新した。バイデン政権の規制強化で先端半導体などハイテク分野の輸出は減ったが、中国へは大豆など穀物の輸出が、中国からはおもちゃなど日用品の輸入が増えた。米中の相互依存の幅広さを改めて示した。