今話題のSVB破綻直前に監査を実施して適正意見を表明するのは監査人として機能してないのではないか?という問題提起です。GC注記もなかったとのこと。

KPMG stands by audits of Silicon Valley Bank and Signature Bank | Financial Times (ft.com)

例えばSVBは2月24日に監査意見を表明して2週間後に破綻しています。KPMG US責任者は「監査報告書発行後に市場主導で起こった動き(たぶん取り付け騒ぎのこと)により2銀行は破綻した、だから監査意見に問題はない。市場の動きなど予測不能だ。」という趣旨の発言をしています。個人的には意見表明するにしてもせめて監査報告書にGC注記は必要だったと感じます。

継続企業の前提に関する開示 | 情報センサー 2021年12月号 企業会計ナビ ダイジェスト | EY Japan

この影響によりクレディスイスが救済合併されたのは記憶に新しいですが、日本の地銀にまで株価下落という形で影響が出ています。具体的には14日までの2営業日で前週末比11.1%急落しました。

債券保有に投資家懸念 米銀破綻、国内地銀株値崩れ 99行中64行が「含み損」:朝日新聞デジタル (asahi.com)

米銀2行の破綻は、米大幅利上げで保有する米国債券などの価格が下がったことが一因。日本の地銀も似た問題を抱えているとの連想から銀行株が売られた。地銀は融資先が不足していたところに、日本銀行が2016年に始めたマイナス金利も重なり、融資では利ざやを稼げなくなった。米国の債券などでの運用を拡大していたが、米欧で金利が上がると、債券の市場価格は安くなり、含み損が出始めた。日銀が昨年12月に踏み切った金融緩和策の修正で、日本国債も含み損が膨らみつつある。地銀に有価証券運用の助言などをする日本資産運用基盤グループのまとめでは、昨年12月末時点で、地銀と第二地銀の計99行のうち64行が債券運用で含み損を抱えていた。地銀の経営に金利上昇がどう影響するのか、金融庁も注視してきた。21年7月から、中規模以上の一部地銀のリスク管理体制などの検証を始め、今年6月までに終わらせる方針だ。ただ、金融庁や日銀は、市場の反応は過剰だとみている。金融庁幹部は「SVBの顧客は大口の法人が主。日本の地銀は個人も法人も顧客に持ち、外債のほかに株などに分散して投資している」と指摘。日銀幹部も「地銀の預金は個人が基本で、一気に抜けるようなことはない」とみる。

PLを通らない評価損が増える結果、黒字決算でも配当できない地方銀行も出てきそうです。個人的には満期保有目的債券の評価損はBSさえも通らないため、満期保有債券で多額の評価損抱えている銀行はBS/PLが一見健全でも要注意(SVBもこのパターンか?)と思います。

配当不能に?「評価損」で地銀を襲う新たなリスク | ニュース・リポート | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)