今年に入って話題になることが多いPBR。金融庁まで巻き込んだPBR狂騒曲の様相を呈しています。そんななか、PBRになんの意味があるの?と一石を投じる記事です。

PBR傾倒の落とし穴 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

「ピンとこない」。コーポレートファイナンス(企業金融)理論家の宮川壽夫・大阪公立大学大学院教授は苦渋の表情を浮かべる。東京証券取引所が上場企業に「資本コストや株価を意識した経営」を求めた件についてだ。耳目を集めたPBR(株価純資産倍率)は、株価を1株純資産で割って計算し、簡易的に株価が割安かどうかを測る「目安」ではある。ただ企業が将来にわたって獲得する予想キャッシュフローを基盤とする株価と、過去の実績を帳簿にまとめた会計上の純資産は性質が違う。「本来は比べる因果関係がない」(宮川教授)という。企業統治改革では、自己資本利益率(ROE)など1つの指標に過度に注目が集まりがちだ。宮川教授は「株価水準や経営成果といった、本来、様々な変数によって成り立つ複雑なテーマを過度に単純化して、その指標を追うのがいいのか」と疑問を呈し、悪影響を懸念する。

別の企業金融理論の教授は「会計数字による指標がどれほど収益実態を捉えているかなど細かなことは色々ある」と前置きしたうえで、「日本企業の改善の鈍さを考えると正確性に問題があることを承知の上で東証はPBR1倍を持ち出さないといけないのかもしれない」と理解を示す。

先日来日したウォーレンバフェットもPBR見ないで投資するとインタビューでコメントしていた記憶あります。

一方でROEを超える企業価値創造(日本経済新聞出版)を読むと柳早稲田大学教授の紹介する投資家サーベイがあり、日本企業の現金/有価証券(広義の現金)100円を61円でしか投資家は評価していないという調査結果があります。”今の日本企業では広義の現金使っても資本コスト以上稼ぐ力はない”と烙印が押されているに等しい調査結果で、日本企業の半分がPBR1倍割れになっている背景が表れていると思います。PBRは完璧な指標ではないものの、無視していたら投資家はますます日本企業にお金を落とさなくなるでしょう。色々な議論あるもののPBRを日本企業の企業価値をあげる劇薬として利用するのが現実的な解だと私は考えています。