知人より良書と薦められて購入しました。シリーズものですが、良い企業から偉大な企業に飛躍する秘訣が描かれている#2を選びました。とても学びが多く、「飛躍する企業を支えるには私には足りないところが沢山あるな…」と自覚&自分の仕事のやり方を考えさせられる内容でした。特に響いた点をご紹介します。

良い企業から偉大な企業に飛躍する秘訣、それは下記表に集約されてます。こちらを理解できれば著者の伝えたいことはほぼ把握できるかと思います。

JIM

規律ある人材編

規律あるリーダー、”第五水準のリーダーシップ”とは?

「一生の間にはどんなことでも達成できる。それが誰の功績とされても気にしないのであれば」、トルーマン元米国大統領の言葉です。この言葉に第五水準のリーダーシップの要点が集約されています。信じがたいほど大きな野心を持っているが、その野心は事業に向けられていて自分自身には向けられていません。

なぜ戦略策定する前に人を選ぶのか?

私は飛躍する企業はパーパス(今風にいえば)があり、戦略があり最後に人が結集するものだと思っていました。飛躍する企業は逆です。先に適切な人材を選び不適切な人材を外し、そのあと戦略です。なぜなのでしょう?理由は3つ。一つ目は何をすべきかではなくだれを選ぶかからはじめれば環境の変化に適応しやすくなる。二つ目は適切な人材であれば動機付けや管理の問題はおこりにくくなる。三つ目は、戦略策定しても不適切な人材が運営したら失敗する。「偉大な企業への飛躍に際して、人材は最重要の資産ではない。適切な人材こそがもっとも重要な資産なのだ」だそうです。

規律ある考え編

厳しい現実を直視するとはどういうことか?

ベトナム戦争での絶望的に長い捕虜生活から捕虜の責任者として多数の捕虜が生き残れる状況を作り出したストックデール将軍曰く、捕虜生活に耐えられなかった人は楽観主義者だそうです。クリスマスまでに脱出できる、復活祭までには脱出できる、と考えながら失望が重なった結果死んでいったとのこと。「これは極めて重要な教訓だ。最後には必ず勝つという確信、これを失ってはいけない。だがこの確信と、それがどんなものであれ、自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視する規律とを混同してはいけない」ストックデールの言葉です。人は誰でも人生のどこかで理不尽な失望、絶望的な事態にぶつかります。違いをもたらすのは困難にぶつかるかぶつからないかではなく、人生のなかで必ずぶつかる困難にどう対応するか、です。

針鼠の概念とは?

人間には狐型と針鼠型の二種類がいます(by アイザリア バーリン)。狐型はいくつもの目標を同時に追求し、複雑な世界を複雑なものとして理解します。針鼠型は複雑な世界をひとつの系統だった考えによって単純化し、すべての行動を決定します。そして偉大な足跡を残した人は必ず「素晴らしい見方だが単純化しすぎだ」という批判を受けています。すなわち針鼠型の戦略こそが飛躍する企業に共通しているのです。具体的には①自社が世界一になれる分野はどこか②経済的原動力になるのはどこか③情熱をもって取り組めるのは何か、の三つの円が重なる部分に集中すべきです。なお針鼠の概念を確立するために飛躍する企業は平均4年の年月がかかっています。三つの円が重なる部分を見つけるには道のりはおそろしく困難で時間がかかること、一回の議論で終わるようなものでは決してないことを示しています。

規律ある行動編

規律の文化はどう作るか?

規律ある人材→規律ある考え→規律ある行動の流れを絶対外さないこと。人材/考えをすっ飛ばして、規律ある行動にいきなり目指すと失敗します。人材がいなければ持続性がない。考えがない行動は悲惨な結果を生みます。加えて、飛躍を導いた指導者は「やるべきリスト」と変わらないほど「止めるべきリスト」を活用している。何をやめるか考えることも規律の文化を構成する重要な要素である。

新しい技術(今でいえばDX)にどう向き合うか?

技術は突破段階に入った後勢いを加速させる手段として使われている。だから偉大な企業の一つであるウォルグリーンズのCIOは薬剤師である。転換期の始点では使わない。技術の変化に受け身になって右往左往し取り残される恐怖で行動する企業はまず失敗する。

個人的には名著”失敗の本質”と重なる点が多いと感じました。

書評:失敗の本質 日本軍の組織論的研究 – ダイヤモンド社 – CFOニュースPlus (cfonewsplus.com)