環境関連の株主提案は従来アクティビスト/NGOが出すことが多かったが、最近は伝統的な運用会社も提案するようになってきた、という記事です。

「NGO化」する機関投資家 ESG提案増加の兆し – 日本経済新聞 (nikkei.com)

5月は世界中の環境活動家が資本市場に最も関心を寄せる季節である。気候変動問題でしばしば批判される米石油大手エクソンモービルが、株主総会を開くからだ。2021年はエクソンに脱炭素を求めるアクティビスト(物言う株主)の提案した取締役が選任された。22年は気候変動対策の強化を求める環境団体による株主提案が反対多数で否決されたものの、同分野の情報開示に関する提案は可決した。そして、23年。5月末の総会に向けた株主提案の中に、脱炭素社会への移行に伴う石油関連資産の除去について、コスト開示の充実を求めるものがあった。内容もさることながら、目をひいたのは議案提出の1社が、英大手資産運用会社リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)だったことだ。これまで環境関連の株主提案は非政府組織(NGO)やアクティビストが出すことが多かった。LGIMのような伝統的な運用会社が直接、提案者となる例はあまり聞かない。ESG(環境・社会・企業統治)投資の新局面の予感が漂う。一昨年のエクソンの株主総会では、カリフォルニア州教職員退職年金基金(カルスターズ)と環境アクティビストの連携が注目された。この一件をきっかけとして、環境問題に敏感な年金基金などアセットオーナーの意向に、運用を受託する側のアセットマネジャーは一段と敏感になった。

また昨今はNGOも資本市場での発言力を伸ばしています。中でもシェアアクションは試算運用会社のESG取り組みを格付けして公表することで資産運用会社にプレッシャーをかけています。

さらに、ここ1~2年の間に資本市場で影響力を強めつつあるのが、NGOだ。4月17日、英国ロンドン。株主総会の季節を前にアビバ・インベスターズなど15の機関投資家が企業に対して、最低限の文化的な暮らしに必要な「生活賃金」を供給網全従業員に保証するよう求める声明に署名した。主導したのがNGOのシェアアクション。昨年は大手スーパーのセインズベリーに対して、みずから生活賃金の拡大を求める株主提案を出して注目された。物価高騰が止まらない英国では、利益の圧縮要因になりかねない賃上げも、ESGのS要素と見なされ、時に投資家から賛成される。シェアアクションも他の株主から支持を得ることができたため、今年は投資家をとりまとめる側に回った。「できるだけ多くの運用会社を引き入れ、大きなうねりをつくっていきたい」。そう語るキャサリン・ハワース代表は、かなりの手応えを感じているようだった。シェアアクションには投資家から協力を得るための秘密兵器もある。格付けだ。資産運用会社のESGへの取り組みを調査し、信用格付けさながらに各社を定期的に評価し公表している。23年版で調査対象の77社中1位となったのはオランダのロベコ。「(今回調査で最上位の)AA評価を獲得した唯一の資産運用会社」。ESGの老舗として知られる同社が結果を対外的にアピールするほど、注目度が高まりつつある。「順位が下がると運用受託に影響が出かねない」。別の資産運用会社からは、そんな声も聞いた。

上記文脈から機関投資家がNGO化する潮流が生まれているとのこと。