2年以上前にリリースされた情報ですが、会計の世界史の著者である田中 靖浩さんのコメントが興味深かったので掲載しました。会計の世界史は私も読ませて頂きました、会計士である私も初めて知ることが多いとても面白い本でした。
会計・監査ジャーナル別冊 「~SDGsへの公認会計士の貢献~ さまざまな地域、分野で活躍する公認会計士」の公表について | 日本公認会計士協会 (jicpa.or.jp)
お金を稼ぐことや経営、ビジネス全般で考えたときに、「個」の力を高めるのか、「チーム」の力を高めるのかという二つの視点があると思います。この二つのどちらを重視するのかは、時代背景によって異なり、今日の日本においては、「チーム」の力がとても重視されていると思います。つまり、組織力が重視され、個の存在が疎かになってしまっていると感じます。多くの方々が会社員として働いていますが、個の存在が疎かになっているからこそ、定年後に社会の繋がりや収入の面で苦労することになります。好景気の時代であれば、「チーム」の力を高めるという観点で持続可能性を語ることになりますが、今後、日本の企業の収益力が落ちていく可能性があり、かつ、人間の寿命がさらに延びていくことを考慮すると、「個」の力を高めることが、持続可能な社会を構築していくためのカギとなると考えています。これまで、私は公認会計士として対企業を中心に「チーム」の力を高める取組を進めてきましたが、「個」の力にフォーカスし、会計リテラシーを個人ベースに落とし込んで普及に努めることが必要であると思います。「チーム」の力が高く安定した組織であっても、フリーライダーのような人が多く現れると組織は弱体化していきます。しかし、仮にその組織が倒れてしまったとしても、高い力を持った「個人」が新しい組織を立ち上げていく。そういう循環が発生することで持続可能な社会が実現できるのではないかと思います。つまり、「個」の力はそれだけ重要であると考えます。そういった観点から、公認会計士の皆さんにも、「個」の力を高めるために、好奇心を持って自身の専門分野以外の勉強を継続してほしいと思います。そして、その中から新しい刺激や発想を得て、大きく世界へ羽ばたいていただきたいと思います。
一人一人の労働生産性を高めることは、先進国のなかでも低めの我が国の一人当たりGDPを高めること&人口減少時代に突入する日本の国力を維持するためにも非常に重要な視点だと思います。