日本のサステナビリティ基準でGHG排出量の算定方法をどう定めるか議論されています。
SSBJ 温対法等との関係を議論|3625号|2023年10月16日|経営財務DB (zeiken.co.jp)
SSBJ事務局は、温室効果ガス(GHG)排出量の算定方法について国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)と同様に原則、GHGプロトコル(2004年)に従うことを提案。例外として、当局または取引所が要求する異なる方法での算定を認め、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく「温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度」(温対法等)との関係を議論した。
ISSBのS2基準では、GHGプロトコル(2004年)に従ったGHG排出量の算定を求め、例外として、当局等が異なる方法による算定を要求している場合は、これを用いることを認めている(29項)。ただし、当局等が特定の部分に関するGHG(例えば、特定の連結子会社のGHG排出のみ)または報告企業のGHGの一部(例えば、スコープ1・2のGHG排出のみ)に関する開示を要求しており、異なる方法を用いて開示を行う場合であっても、スコープ1・2・3の開示は免除されない(B23項からB25項)。そのため、開示を要求されない部分はGHGプロトコル(2004年)で算定して開示する。
①GHGプロトコル(2004年)とは異なる方法に基づき算定することを選択した報告企業は、 重要性がある場合 、GHGプロトコル(2004 年)と他の方法のそれぞれで算定した排出量を開示する。
②温対法等の対象企業が、温対法等に基づく算定を選択した場合、公表承認日までに当局へ提出した直近のデータを用いる。 ただし、サステナビリティ財務報告の報告期間と 1年以上離れているものを使用できない 。
温対法等とは、GHGを多量に排出する者に対して排出量の算定・国への報告を義務付ける法律・制度。代替フロン等4ガスは1月から12月まで、それ以外は4月から3月までを算定対象期間(報告期間)として、対象者別に毎年6月末日または7月末日までに報告を求めている。事務局は温対法等の適用を選択する企業が多いことを想定している。そこで問題になるのが報告期間だ。例えば、7月末日に温対法等に基づく報告が求められる3月末決算企業が、仮に有価証券報告書でSSBJ基準に基づいた開示を行い、温対法等で算出したGHG排出量を用いる場合、有報の提出期限である6月末日に間に合わせるためには、1カ月前倒しで温対法等に対応しなければならない。これを避けるため、企業が前年度の温対法等の報告を用いた場合、財務諸表の報告期間と大きなずれが生じてしまう。
以前投稿した記事も参考までに紹介します。
SSBJ S2基準、GHG排出の議論を開始 – 経営財務 – CFOニュースPlus (cfonewsplus.com)