ここ数年監査法人の異動が増えてきました。これを機会に私の事実認識をざっくりまとめます。

現在は以下の異動パターンが多いと認識してます。

大手→中小監査工数の増加並びに監査報酬の増加が主な異動要因。

大手→大手:異動要因は色々。強いてあげれば監査期間の長期化及び監査人による非保証業務収入の増加の2つ。

いま会計士業界で喫緊の課題になっているのは”大手→中小”です。監査リスク高い可能性ある会社を大手ではなく中小が今までより安い監査報酬で引き受けた結果、監査品質の劣化問題が発生します。今、業容が急拡大している中小に狙いをつけて金融庁が検査に入り行政処分を出しまくってますが、これも監査品質の劣化問題を抑えようとする動きの現れです。

金融庁の1年(2021事務年度版)-金融庁 – CFOニュースPlus (cfonewsplus.com)

一方で、”大手→大手”も昔に比べて増えてきました。最近であれば三菱マテリアルです。

公認会計士等の異動:三菱マテリアル:あずさ→トーマツへ ‐ IR – CFOニュースPlus (cfonewsplus.com)

例えば5年前の時点で、”同じ監査法人による監査期間が長期化している会社”及び”監査報酬に対する非保証業務報酬の割合が高い会社”一覧を出したら、相当数の会社が現在監査人変更しているかもしれません。

「50年以上同じ監査法人」上場企業1割: 日本経済新聞 (nikkei.com)

上場企業の決算関係の書類が正しく作成されているかを確認する会計監査で、同じ監査法人に50年以上業務を依頼している企業が全体の1割あることが分かった。監査期間が長いと事業を詳細に把握できる一方、企業とのなれ合いにつながるとの懸念もある。企業統治の強化に向け、契約期間の長期化を理由に監査法人を変更する企業も出始めた。