世界の会計士業界に議論を巻き起こしているEYの監査/非監査分離問題。分離するにあたり税務部門を監査部門に残すか非監査部門に残すかEY米国で議論になっているという記事です。

まずはEY分離問題についておさらいします。

EYの監査とコンサル分離表明に業界波紋、監査の独立性確保の裏に「真の狙い」 | 会計士・税理士・社労士 経済3士業の豹変 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

「ストロングポジションにいる今こそ、自らディスラプト(破壊的イノベーション)を起こしていく」昨年11月、四大国際会計事務所の一角を成すアーンスト・アンド・ヤング(EY、統括本部:英ロンドン)で、グローバル会長兼CEO(最高経営責任者)のカーマイン・ディ・シビオ氏や主要15カ国の経営トップらが集う最上位会議が開催された。会議に出席した日本事業の統括者、EYジャパンチェアパーソン兼CEOの貴田守亮氏は、その場で交わされた冒頭の発言とある計画に「え?今?」と驚きを隠せずにいた。それもそのはずだ。その会議を契機にEYは、監査とコンサルティングの事業を分離する検討に入ったのだ。分離に向けたフィージビリティースタディー(実現可能性や採算性などの調査)の実施が決まり、年明けから着手。今年8月までに調査を終え、EYの各国ファームで今、分離か否かの議論が繰り広げられている。

昨年末には監査/非監査のグローバルリーダーを選任しました。

EY、事業体制確定後のグローバル会長兼CEOを選出 | EY Japan

EYは新たな事業体制に関する検討を行っておりますが、このたび、EYが分割された場合の2つの組織のリーダーを選出したことをお知らせします。EYの継続事業体となる「AssureCo」のグローバル会長兼CEOにジュリー・ボーランド(Julie Boland)、新たに設立される「NewCo」のグローバル会長兼CEOにカーマイン・ディ・シビオ(Carmine Di Sibio)が、それぞれ仮就任し、分割完了をもって着任することになります。私たちは現在、分割の検討を慎重に進めており、2023年上期に行われるパートナー投票において分割が決定されます。両リーダーの選出は、当該分割検討プロセスにおける大きなマイルストーンとなります。EYは、自ら先んじて組織の分割の検討を進めることで、私たちプロフェッショナル・ファームの将来を再定義するビジネスを構築し、クライアント、社会、EYメンバーに長期的価値を提供できることとなると確信しております。日本における事業体制のあり方について結論が出ましたら、すみやかに公表いたします。

上述の運びの中で出てきたのが税務部門を監査部門/非監査部門どちらに所属させるか、です。

[FT]会計事務所EYが再編計画を保留 税務事業巡り内紛 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

英大手会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)が会社を2つに再編する計画を保留した。税務関連事業をどの程度、監査部門に残すかを巡り、激しい論争が起きているためだ。複数の内部関係者によると、現在は米国拠点の責任者でコンサルティング部門を分離した後はEYの経営トップに就任することになっているジュリー・ボーランド氏が8日、パートナーとの電話会議で再編計画を修正する必要があると語った。

再編はコンサル部門と、税務事業の大部分を監査の独立性に関する規制の外に置く狙いがあった。この規制のためにEYは監査先企業にコンサル業務ができず、それが成長の足かせになっていると見られていた。EYは税務事業の過半をコンサルなどの助言サービス部門から成る新会社に移し、監査部門が主体となるもう一方の会社には税務事業はほとんど残さない計画だった。ところが関係者の話では、米国拠点の監査担当者はもっと多くの税務を監査部門に残すよう社内に働きかけているという。

EYが計画の中身に関して社内対立を解消しようとする中、総勢1万3000人のパートナーによる計画の賛否を問う投票は何度も延期されてきた。直近の予定では、4月下旬か5月に世界のおよそ75カ国で実施することになっていた。

おそらく他BIg4も固唾をのんで見守っていることと思います…。