トヨタがEV生産を本格化させて、それは将来のPBR上昇にもつながるのでは?という記事です。EVは世界生産台数の1割を占めるのですね。EUでガソリン車が2035年以降容認されたとはいえ、EVに力を入れないと生き残れない証左と思います。

産業構造の転換促す トヨタ、EV生産を本格化 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

トヨタ自動車が電気自動車(EV)戦略の道筋を示した。2022年に世界販売台数が首位のトヨタだが、EVに限ると28位で首位の米テスラなどを追うEVはガソリンエンジン車より部品点数が3~4割減るといわれる。トヨタのEV生産が本格的に立ち上がることで、エンジン車を軸とした日本の自動車サプライチェーン(供給網)は構造転換を迎える。

トヨタの22年の世界販売台数はトヨタブランドと高級車「レクサス」ブランドだけで956万台。子会社の日野自動車とダイハツ工業を合わせると1048万台で、2位の独フォルクスワーゲン(826万台)に200万台以上の差をつける。世界シェアは推定13%に達する。一方、EVとなると状況は異なる。調査会社マークラインズによると、トヨタの販売は22年に2万台で28位にとどまる。EV市場でのシェアは0.3%にすぎない。1位のテスラは126万台で同17%に及ぶ。

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こうした点を投資家も危惧している。トヨタのPBR(株価純資産倍率)は7日時点でおよそ0.9倍。22年の末ごろから東京証券取引所も是正を促す「1倍」を割れる水準が続く。PBR1倍未満は事業をたたんで解散して得られる価値より株価が低いことを意味する。

トヨタなど自動車大手がEVにシフトすることで、国内の自動車産業は構造変化を迫られる。EVは部品点数がガソリン車の約3万点から3~4割減るといわれる。エンジン部品が代表的だ。アーサー・ディ・リトル・ジャパンによると、9割がEVに移行した場合、68万人の自動車部品に関連する雇用のうち、1割強にあたる8万人が職を失うと試算する。単体で7万人、連結で37万人を抱えるトヨタの従業員を維持することは簡単ではない。一方で新たに需要が膨らみそうなのはソフトウエア関連だ。米マッキンゼー・アンド・カンパニーは、自動車業界における慢性的な人手不足を指摘している。必要な人材は、30年までの10年で3~4倍に増加すると試算している。