先日の日経新聞報道↓の詳細版が報道されました。

EY、税務など分離案取り下げ – 日本経済新聞 – CFOニュースPlus (cfonewsplus.com)

米国EYが税務部門を監査/非監査どちらの陣営にもっていくかでまとまらなかった→EYの売上半分が米国なので分離案取り下げ→梯子外された日本EY困惑、という感じです。

会計監査とコンサルの分離頓挫 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

英国に本部のある大手会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)で、会計監査とコンサルティングなどの非監査部門を分離する計画を中止することが明らかになった。規模が大きい米国法人に慎重論が根強く、グローバルでの分離計画が頓挫した。二分野の利益相反を解消してコンサルの成長余地を広げる戦略はゼロから練り直しになった。分離を見送った最大の要因は、売上高や人員規模が大きい米国で税務部門の人員を分けることに慎重論が強かったことだ。税務処理の確認は会計監査で極めて重要だ。一方で、コンサルティング部門でも複雑化する国際税務の対応などの需要は大きい。分離すると監査とコンサルの双方で税務人材の確保が困難になるとの懸念が最後まで解消できなかった。

それだけではない。EYは分離した非監査部門を、新規株式公開(IPO)する青写真を描いていた。ところがインフレ対策で米連邦準備理事会(FRB)など主要地域の中央銀行が利上げを進め、株式市場に逆風が吹いた。米銀破綻などもあって投資家のリスク回避姿勢が強まり、IPOでの資金調達のハードルが高まったことも分離見送りに傾いた要因の一つだ。

日本事業を統括するEYジャパンは突然の分離見送りに困惑する。EYジャパンでは、分離を前提に監査やコンサルティングなど各法人の社員らに意義についての説明を進めていたところだった。EYジャパンの貴田守亮会長兼最高経営責任者(CEO)は「社内の人間には分離中止を顧客に丁寧に説明するように指示を出した。しっかりサポートしていきたい」と語った。

日本EYもプレスリリースを出しました。結果としてご破算になりましたが、EYの試みは業界に一石を投じたと評価しています。監査の厳格化は留まることを知らず、監査と非監査が同じグループで共存することは難しくなる一方です。おそらく2-3年以内に同じような動きがBIG4であり、EYを教訓に分離をやりきるのではないかと読んでます。米国エンロン社の事件から監査の独立性が議論になり日本ではデロイト以外のBIG4がコンサル分離しました(確か)。あれから約20年弱、監査厳格化の潮流が強まりだした今、コンサル分離の歴史がまた韻を踏むのではないかと。

EYの事業分割検討の経緯について | EY Japan