トヨタ自動車は世界販売する新車1台あたりのCO2排出量を2035年までに19年比で50%以上削減するという考えを示しました。「CO2を減らすことが一番大事で、EVなどはその手段だ。」とのことで、HV含む全方位でCO2削減に取り組むようです。サプライチェーン全体で大きな影響が出そうですね。

トヨタグループの22年の世界販売台数は1048万台と首位で、シェアは推定13%を占める。市場が伸び悩むとみる先進国ではEVやプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を中心に据えて、需要の急増を見込む新興国ではHVの販売比率を増やしていく。

先進国では厳しい環境規制を背景に急速なEVシフトが進んでいる。トヨタはEVでの出遅れが指摘されてきたが、7日には26年までにEVの世界販売を年間150万台にすると公表した。従来は30年までに350万台にするとしていた目標の中間点だ。22年実績の60倍超に当たるが、佐藤社長は「確実に実行へ移していける」と強調した。米国ではバイデン政権が30年にEVなど電動車の新車販売比率を50%以上とする目標を掲げる。米国はトヨタの世界販売台数の約5分の1を占める。佐藤社長は「米国の規制が厳しくなっているのは理解しており、我々の戦略が乖離(かいり)していないことを確認しながら進めている。電動化へも対応する」と述べた。

素人目線ではありますが、いま自動車業界には二つの潮流があると思います。

地政学リスク:米国が保護貿易の観点で補助金支給対象のEVを米系OEM産に絞りました。日系OEMだけが打撃を受け、米系OEMに部品供給する日系部品メーカーはダメージを一部免れることができるかもしれないものの、日本自動車業界に一定の影響度与えます。加えて、中国はダントツのEV最大市場であり日系の力に頼らずEVを生産できる能力を日々蓄えています。昨今の地政学リスクの高まりから中国政府により突然規制をかけられる可能性を勘案すると、日系OEM/部品メーカーにとって中国市場はますます入り込みにくい市場になります。

技術の進歩:車を動かすのがエンジンからモーターになり車の組み立て方が大きく変わります。加えてハードよりもソフトウェアの重要性が増してきました。その結果、従来よりも自動車産業への参入障壁が低くなると思われます(例:モーターはエンジンのような規制なし)。また今は品質不良が起こるとリコール等で大変なことになりますが、今後ソフトウェア更新で一発解消する領域が増えます。アジャイルという考えが自動車業界に導入されれば、命に別状ない限り多少の品質不良リスクは許容して自動車販売する文化が醸成されるやもしれません。